説明しすぎが残念「えんとつ町のプペル」ネタバレ感想

2021年1月3日

 

というわけで赤入れをしてみた

見ていて気になったこと。

 

絵本で補完すればわかるのかもしれない。

90分という枠の中で、あえてその必要があったのか? という点です。

 

「ほしよみ」のお姉さん

作中、ルビッチ家と親しい占い師(たぶん)のお姉さんが、

(たぶん)風紀を乱す存在として捕まってしまいます。

 

時間を割いて描かれているわけではないのですが、おそらくそのようです。

 

ただ、作中では煙で空が覆われているので、「星」の概念がないんですね。

 

どうしてその占いは「ほしよみ」と呼ばれていたのか?

生まれ年など「生まれ持った星」について考察する占い?

占い師の一族には言い伝えとして「星」の概念があったのか?

 

など、めちゃくちゃ気になるのに一切触れられず。

 

お姉さんとルビッチの父の交流が深い描写もあったので、

占い一族に伝わる「星」「空」「外」のことを父が聞いたのかと思いきや、

彼が外の世界のことを知ったのは炭鉱夫からでした。

 

じゃあ別に「ほしよみ」じゃなくて「占い師」でよかったんじゃ……?

 

という気持ち。

無駄にもやもやしました。

 

炭鉱夫のスーパーネタバラシタイム

ルビッチの父もルビッチ同様に変わり者で、

「煙の向こうにはきれいな星が瞬き、町の外にも世界がある」と、

規則に反した話を吹聴したことで、政府から目の敵にされていました。

 

しかし、

そもそもなぜ彼は外の世界について知ったのか?

という点は謎に包まれていました。

 

「子どものときに聞いたおとぎ話とか?」となんとなく補完していました。

 

しかし終盤になって、

実はひょんなことから炭鉱夫の間で言い伝えられる「えんとつ町」の成り立ちを聞き、「みんなにも伝えなくては!」と思い立って紙芝居を描いたことが明かされます。

 

この話、そんな引っ張らなきゃいけなかったのかなあ……。

 

序盤のうちにこの回想にふれるだけで、

「中央政府の秘密主義・高圧的な体質」など世界観についても同時に説明ができたはずで、

もっと話に入りやすかったと思います。

 

貨幣について

炭鉱夫から明かされる話でもう一つ。

 

えんとつ町で普及している、腐ってしまうお金のことがあります。

が、終盤に町の成り立ちが説明されるまでほぼ触れられません。

 

「(給料を)腐る前に使えよー」というセリフに対して

「ん? この世界のお金は劣化するの? 物理的に? ただの比喩?」

と思っているうちに忘れ去られてしまいます。

 

その後、実際にお金を使うシーンや腐るシーンがあるわけでもなく、

王様がコインを手元で遊ばせているカットが意味深に何度か出てくるくらい。

 

終盤に突然

「従来の貨幣制度を変えるためにえんとつ町ができた」

という話が炭鉱夫から語られます。

 

しかもルビッチも父も「外の世界」にしか興味がなかったようで、

貨幣については特に触れられず終わります。

 

これにはびっくりしました。

じゃあ90分尺であえて欲張らなくても良かっただろうと。

 

たぶん原作者の「俺良いこと考えた」の主張なのでしょう。

 

外の世界と海

さて、終盤に突如カットインする、

町の成り立ちやコインについて明かされる怒涛の説明タイム。

 

「打ち切り漫画かな?」という勢いで色々な情報が明かされます。

 

「海は解放されている」点が一番びっくりしたかもしれない。

 

「外の世界への憧れの象徴=星」であることは理解できるのですが、生身の人間が島から脱出するなら、空を飛ぶより海を泳ぐほうが圧倒的にハードル低いですよね。

 

「海に恐怖心を持たせるような言い伝え」があるようですが、公安委員会の高圧的な取り調べに比べるとフワッとした対策で、一貫性がなくてもやもやしました。

 

壁作ったら「進撃の巨人」のパクりって言われるからかな?

 

ちなみに、

星が見えても普通は外界志向には結びつかないのになんで煙を焚いたんだろう?

と思っていたのですが、

見晴らしがよい=海の向こうに外の町が見えてしまうことを危惧したんですかね。

 

ならより一層、海路は塞ぐべきだと思うなあ。

 

でもよかったという話

色々言っていますが、トータルは観て良かったと思っています。

 

個人的な西野さん応援補正がかかっていることは否定しませんので、

彼のことが生理的に無理な人はやっぱり無理だと思います。

 

とにかく絵がめちゃくちゃ綺麗で、画面に迫力があり見ごたえがありました。

 

サブスクで見ていたとしたら途中で離脱していたと思うので、

この画面を映画館で楽しめたのはよかったです。

 

あと、オリラジの藤森さんが声を当てているのですが、これもハマり役でした。

 

主人公からして、芦田愛菜さんと窪田正孝さんが声を当てており、

メインどころには本職の声優さんがいない本作。

 

しかし目立つようなひどい演技はなく、これももしかすると、アニメ映画でたびたびゲスト声優として芸人や俳優が登場して本職から煙たがられることに対する皮肉だったのかもしれないなと思っています。

 

ところで、プペルが登場していきなり踊ったので、

某朝ドラの初回を思い出して、これは……と身構えてしまいました(中の人ネタ)