イイネ社会の行きつく地獄「THE CIRCLE」ネタバレ感想
トム・ハンクスが大好きです。
しかし「グリーン・マイル」でも「ターミナル」でも、
私が好きな彼はいつも「善」側にいました。
本作で見せたカリスマ性のある狂人役に、すぐには脳がついていきませんでした。
「THE CIRCLE」あらすじ
才女でありながら故郷の田舎に縛られていたメイは、
ツテから地球最大の企業「CIRCLE」の面接を受け、見事合格する。
自社SNSによってプライベート含む全ての情報を共有するという、
異常なまでに透明性を重視する社風にたじろぐが、
メイ自身も次第に「共有する」生活に順応していくのだった。
その後、メイは新サービスのテストユーザーに指名される。
その新サービスとは、
自宅のあらゆる場所およびメイ自身にカメラを付け、
彼女のすべての行動をリアルタイム配信するというものだった。
「前衛的サービスの勇気あるテストユーザー」として有名になったメイ。
しかし、
視線を通じて、家族や友人の姿をも全世界へ共有してしまうテストは、
彼女の人間関係を少しずつ壊していく。
メイが最後に選ぶものは何か。
「いいね」の数か?
自分と大切な人のプライバシーか?
現実味はないけれど
主演のエマ・ワトソンは、
本人のSNSでも積極的に主義主張を発信しています。
そのパブリック・イメージとどこか重なる役柄でした。
エマ・ワトソンもトム・ハンクスも大好きなのですが、
映画としては微妙かも……。
キャストとセットが豪華すぎて、
肩透かしを食らったような気がしました。
イイネ社会のたどり着く場所
「SNSでの承認欲求に溺れて実生活が破綻していく」
というストーリーのマンガがよく広告に出てきます。
しかし本作はそういった個人の破滅ではなく、
「繋がり」を過度に求める社会の欠陥をデフォルメしたストーリーです。
「CIRCLE」(明らかにGoogleがモデル)における情報共有は、
義務ではないとしながらも同調圧力を持っており、
宗教に近いものがありました。
思考が自動ポストされるYahoo!知恵袋という感じで、
たとえば病気の治療方法について文殊の知恵を得られるなど、
もちろん良い面もあります。
しかし、
余裕でお釣りがくるほどプライバシーが侵されていきます。
実際の社会、まして自由と権利の国・アメリカで、
こんな企業の在り方が許されるとは思えませんが、
人間というのは団体で狂っていくものなので、
いつ何が起きるか分からない、
一歩間違えばこんな世界になっていくのかも……?
という怖さがあります。
どちらかというと豪華な「世にも奇妙な物語」かなあという映画でした。
近未来ITの姿は夢があって面白かったです。
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