価値観大型アプデ! アマプラ独占配信の「シンデレラ」ネタバレ感想

2021年9月23日

2021年9月3日から、Amazonプライムビデオで独占配信中の「シンデレラ」

じわじわと話題になっていますが、2020年代の価値観でリメイクされた「シンデレラ」は、噂以上の面白さでした!

 

 

Amazon プライム ・ビデオに登録する

 

原作と大きく異なる「シンデレラ」あらすじ

町はずれの家に、継母と義理の姉妹と暮らすエラは、

いつかデザイナーとして立身出世することを夢見ている。

 

ある日、エラはようやく完成させたドレスを市場で売ろうとするが、

女性は商売をできないという慣習から、散々な扱いを受けてしまった。

 

しかし、落ち込むエラに声をかけてきた謎の男性が、ドレスを高値で買うと言う。

さらに彼は、エラが上流階級の客と知り合えるようにと舞踏会へ招待してくれた。

 

実は彼こそが、舞踏会の主役のロバート王子であり、

固定概念に縛られず奮闘するエラに感銘を受けたのであった。

 

女性が求めるべき幸せとは、王子との結婚か? 夢か?

どちらかしか選んではいけないのか?

 

2020年代の価値観にアップデートされた、完全に新しい「シンデレラ」

 

「自分」を持っているキャラクターたち

これまでの「シンデレラ」といえば、

義理の家族に虐げられていた清廉な少女が、

偶然にも王子様との結婚というプラチナチケットを得て人生大逆転!

というイメージです。

 

シンデレラと王子様は善、継母たちは悪

という構図があると思います。

 

しかし、アマプラ版「シンデレラ」のキャラクターを見ていると、

人はそれぞれに信条があり、簡単に善悪に振り分けることはできないような、

現代的な作りになっていました。

 

また、当然本作の主人公はエラですが、

誰もが主役になりうる深みを持っており、それもリアリティがありました。

 

いたずらに意地悪いわけではない良識のある継母

最初に感動したのが、この義理家族です。

 

エラは給仕など雑用こそさせられていますが、

これまでの「シンデレラ」のイメージのような、

奴隷的な扱いを受けていません。

 

継母もかつて夢を諦めざるを得なかった女性の一人でした。

 

そのため、

夢を追う怖さや、夢を失う辛さをよく知っているのでした。

 

女性は夢を追うべきではないと悟り、せめて不自由のないように、

エラを含む自分の娘たちを金持ちに嫁がせようとします。

 

手段は時々強引ですが、基本的に愛情深い女性として描かれており、

彼女もエラの成功により救われたように思いました。

 

イケイケのファビュラス・ゴッドマザー

アマプラ版「シンデレラ」に登場する魔法使いは、

イケイケのゲイ。

 

まさにファビュラスなドレスを着てド派手に現れます。

 

 

魔法使いは優しそうなおばあさん、なんてイメージをぶっ壊して、

自分自身にも自信たっぷりのゴッドマザーです。

 

こんな魔法使いに魔法かけられたい!

 

オリジナルキャラクター・グウェン王女

ロバート王子の妹であるグウェン王女は、誰よりも国策を考えている才女です。

 

父である国王に、

あの手この手で、自らの革新的な政策を伝えようとします。

 

しかし、女性の立場の弱さから彼女に王位継承権はなく、

政治にも携わらせてもらえませんでした。

 

最終的には、家族の説得により心を入れ替えた国王により、

王位継承権を得ることになります。

 

能力によって男女関係なく登用される社会を実現できたのは、

エラだけでなく、グウェン王女の地道な努力も理由の一つだと思います。

 

そしてこのグウェン王女、ビジュアルがとっっってもチャーミング。

 

 

金髪のおかっぱで、いたずらっぽい表情が可愛らしいです。

 

いまどき男子のロバート王子

母や妹、そしてエラ。

 

強い女性に囲まれてたじたじのロバート王子ですが、

彼もとても「今っぽい」男性でした。

 

女性が働きながら子どもを産み育てることが珍しくない現代において、

女性は結婚したら家に入るべき、と言い放つ男性はほとんどいません。

 

しかし、

「本当はその方が女性も楽なのだろう」と感じている男性は、

実はかなりいると思っています。

 

自身に経済力がある男性が、愛している女性に、

「働かなくていいよ」と言って怒らせてしまうケースが散見されます。

(しかもなぜ怒っているのか理解できない)

 

働くことも、権利の一つなんですよね。

 

これも現代社会の悪さの一つですが、

逆に男性にはこれまで「結婚したら家に入る」

という選択肢はほぼありませんでした。

 

自分にない選択肢は魅力的に感じてしまう、

ましてそれを提供できることは「良いこと」だと信じて疑わない。

 

女性の権利の拡大だけでなく、

男性の自由選択の拡大にも目を向けていきたいと思いました。

 

そんなロバートですが、エラと話すうちに価値観が変わり、

不向きな王位継承ではなく、愛する人と生きていくことを選びます。

 

その柔軟性も、いまどきの男の子だなあと思わされました。

 

日本語吹き替え版も良い!

本作には日本語吹き替え版があります。

 

15年の「シンデレラ」や19年の「アラジン」は、

ミュージカル部分も日本語に吹き替えられていましたが、

アマプラ版「シンデレラ」のミュージカル部分はオリジナルのままです。

 

台詞は日本語になるので、流し見するなら吹き替えがちょうどいいかも。

 

一度はオリジナルを見てほしい

ただ、ゴッドマザーの声が、吹き替えだとちょっとワザとらしい感じなので、

ぜひ一度はオリジナルのまま観てほしいです。

 

個人的なイチオシキャラクターは、

タウン・クライヤー(街中でニュースを市民に伝える人)

 

タウン・クライヤーが、ブラスバンドに乗せてラップでニュースを伝えるシーン。

大盛り上がりでサイコーです。

 

ラップは台詞扱いのようで、日本語版では木村昴さんのラップが聴けます。

歌唱の吹き替えがほぼこのラップ部分しかないので、存在感がありました。

 

ただ、やはり口合わせなどを必要としないオリジナルは、

リズム、グルーヴ感が段違いです。ぜひ聞き比べてみてくださいね。