精神こそが強さの本質「鬼滅の刃 無限列車編」ネタバレ感想
好もうと好まざろうと無視できないほどの社会現象を巻き起こした「鬼滅の刃」
価格:10,670円 |
人気に本格的に火を付けたのが、
ufotableの神作画+豪華声優でのアニメ化です。
コミックスが売り切れている場面にも、何度か出くわしました。
下町の小さな本屋でこれですから、日本全体の熱狂ぶりがうかがえます。
そんな化け物コンテンツが、コロナで虫の息の映画界を救いに来たと。
「無限列車編」は原作屈指の重要エピソード
国民の半分はストーリーを知っていそうなので、細かい説明は割愛しますが、
「鬼滅の刃」には「柱」とよばれる強い剣士が登場します。
「BLEACH」でいう隊長みたいなやつです。
本作は、そのなかの炎柱・煉獄杏寿郎にフューチャーしたストーリー。
「鬼滅の刃」の連載期間は従来の人気作と比べて短めで、
主人公と特に絡みがないまま原作が終了した柱もいます。
しかしこの映画で描かれる「無限列車編」は、
主人公が「柱」という高みを目の当たりにして、
自分たちの目指すべきところを自覚する重要なエピソード。
後半の重大な出来事を含め、物語全体に対して大きな影響を与えており、
無限列車編と煉獄杏寿郎なくして「鬼滅の刃」は語れないのです。
原作コミックスでは7・8巻に収録のエピソード
「無限列車編」は、原作コミックスでは7・8巻に収録されています。
価格:440円 |
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映画がいかに原作を尊重して忠実に作られているかわかるので、
ぜひここだけでも読んでみてほしいです。
以降ネタバレです。
展開の核心に触れるものもあるので、
知りたくない方はご覧にならないようにお願いします。
炭治郎と煉獄のセリフは繋がっている
映画中盤の魘夢との闘いのなか、
炭治郎の「俺の家族を侮辱するなァァァ!」というセリフがあります。
そして映画後半。
猗窩座(あかざ)との闘いで、
煉獄の「この少年は弱くない、侮辱するな」というセリフがあります。
原作では巻を跨ぐこともあり、気にしていなかったのですが、
これらのセリフは繋がっているのではないかと思いました。
強さとは何か
この煉獄のセリフまでに、猗窩座は「強さ」について言及しています。
人間は老いる・死ぬ=強くなれない
強くなれない=無価値 という猗窩座の主張に対し、
煉獄の答えは、
「老いることも死ぬことも 人間という儚い生き物の美しさだ」
「強さというものは 肉体に対してのみ使う言葉ではない」
そして冒頭の「侮辱するな」に繋がるわけです。
原作を読み進めると、猗窩座がこの価値観に至ったには、
彼なりの悲しいエピソードがあったわけですが、今は置いておきます。
煉獄の母の教え
煉獄の母は、身体の弱い女性でした。
しかし、精神的な強さ・気高さにより煉獄に大きな影響を与えており、
強く生まれた人間の役目は他者を守ることである
という美しい哲学を彼に託して亡くなっています。
弱き者は負け犬であるという猗窩座の思想は、
炭治郎以前に、煉獄の母を否定・侮辱するものだったのです。
つまり「この少年は弱くない、侮辱するな」というセリフは、
煉獄にとっての「俺の家族を侮辱するな」でもあるということですね。
作品全体のテーマ「人間の原動力は心」
噛ませ犬になってしまった魘夢ですが、
「人間の原動力は心だ 精神力だ」と言っています。
冒頭で登場するこのセリフは、
映画全体を貫くテーマ提示となっていました。
炭治郎がカナヲに残したセリフ
アニメ版ですが、主人公3名が無限列車に派遣される前、
彼らは柱戦士である胡蝶しのぶの屋敷に滞在していました。
修行を終え、無限列車へ向かうとき、
炭治郎が同期のカナヲに言った言葉も、心に関連していました。
「人は心が原動力だから 心はどこまでも強くなれる」
それまで心が死んでいたカナヲの、以後の在り方に影響を与えます。
心を燃やせ
「人間の原動力は心」
だから「強くなれる」とする人間サイドと、
だから「脆く、弱い」とする鬼サイド。
煉獄が遺した「心を燃やせ」という言葉は、物語の終盤に至るまで、
炭治郎の心の原動力として輝き続けます。
「上弦の鬼には煉獄でさえ負けるのか」
炎柱・煉獄の訃報を受けた柱たちは、それぞれに悲しみを見せます。
「上弦の鬼には煉獄でさえ負けるのか」は、
次のエピソード(遊郭編)の主役である音柱・宇髄のセリフです。
自信満々、いつもド派手な宇髄ですが、
そのセリフの端々には、自分よりもっと強い柱がいるようなニュアンスがありました。
このセリフもその一つで、
少なくとも宇髄の中では、 宇随<煉獄 だったように思います。
宇随の勝利はインフレではない
宇随より強かった煉獄が上弦の鬼に負けたのに、
この4か月後、宇随は上弦の陸に勝つんですよね。
連載物ではよくある戦力のインフレと言ってしまえばそれまでですが、
本当にそうでしょうか?
・猗窩座が対戦したのは上弦の参
・宇髄が倒したのは上弦の陸
・煉獄の死に直面し、死ぬ気で修行を積んだ鬼殺隊
・これによる宇随・主人公3名の戦力アップ
それでもかなりギリギリの勝利だったことを考えると、
非常にリアルな結果ではないでしょうか。
煉獄はまだ強くなるはずだった
さらに、おそらく映画で追加されていたセリフがありました。
怒涛の連撃を受けた猗窩座が以下のように指摘します。
・煉獄の身体能力はまだピークを迎えていないこと
・1年後、2年後にはより技の練度が増すであろうこと
いかにも猗窩座っぽい自然なセリフだったので、
原作を改めて探しましたが、やはり映画オリジナルのようでした。
あったらちょっと恥ずかしい。
結果的には、
最終決戦までに殺された唯一の柱になってしまった煉獄。
このセリフによって、
煉獄はまだ強くなるはずだったことが新たに示されました。
煉獄の尊厳を守る素晴らしい追加セリフだったと思います。
その他、印象深かったシーン
伊之助・・・!
個人的に、アニメになって一番印象が変わったのは、
伊之助が炭治郎を助けるシーンでした。
「夢じゃねえ!現実だ!」
「罠にかかるんじゃねぇよ! つまらねぇ死に方すんな!」
迫真!
私はソード・アート・オンラインが大好きなのですが、
伊之助がキリトと同じ声なのがいまだに信じられません。ふたりとも二刀流だね
全体的に、この鬼と相性が良かった伊之助の頼りになるっぷりが、
アニメだと一層感じられてよかったです。
善逸・・・!
善逸が見る夢のシーンもよかったです。
原作だと、禰豆子をおんぶして川を渡るシーンは登場しないのですが、
ちゃんと霹靂一閃で川を渡っているところが細かくてよかったです(笑)
以上、感想でした。
価格:2,964円 |
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