時は金なりB級映画「TIME」ネタバレ感想

2021年10月12日

「25歳以上年を取らない人類」「時間が通貨になった世界」

ネトフリで面白そうな映画を見つけたので観てみました。

 

 

アイディアが抜群で、つい引き寄せられるあらすじですが、

あの「トゥルーマン・ショー」と脚本家が同じでした

 

「TIME」あらすじ

ヒトが25歳で年を取らなくなり、「時間」が通貨になった近未来。

この世界では、25歳になると「1年間の余命」が与えられる。

 

余命を延ばすには、労働あるいは他人からの奪取により、

自らに「時間」をチャージしていくしかない。

 

富裕層は実質的な不死身となり、

貧困層の人々は働くことで1日、また1日と生きのびていた。

 

ある日、スラム街で暮らすウィルは、

偶然命を助けた大富豪から、100年以上の余命を譲渡される。

 

誰もが死に怯えずに生きていける世界への革命を目指し、

ウィルは富裕層エリアに向かった。

 

「TIME」恵まれた脚本から漂うB級臭

本作「TIME」では、

脚本を書いたアンドリュー・ニコルが監督を兼任しています。

 

あらすじにうきうきしながら、いざ観てみると、

フワッと香るB級臭……。

 

実は、面白かった「トゥルーマン・ショー」の方は、

主演がビッグすぎて監督を外されていたそうです。

 

「TIME」も監督が別だったら、もっとアイディアを活かして、

さらに面白くなったのではないかと、少し残念に思いました。

 

 

曖昧なキャラクター像

何が本作「TIME」をそうさせるのかと考えると、

冗長なシーンが多く、各キャラクターの目的が不透明な点だと思います。

 

特に途中から行動を共にする、大富豪の娘・シルビア。

 

 

ウィルと一目で恋に落ちますが、

彼がスラム街の出身と知ると嫌悪感を示します。

 

ここからどうやって心情に変化が生まれるのだろう?

と楽しみにしていたのですが、

 

跳ねっ返りムスメが過保護なパパに復讐! とか、

貧困層の人たちのリアルに触れて改心したとか、

特に動きがないまま、シンプルに犯罪行為に手を染めていきます。

 

行動原理について、あまり自分で考えていないような印象でした。

 

しいて言えば、

吊り橋効果でウィルにベタ惚れなのかな?

くらいで……。すごいチューするし……。

 

ラストシーンが残念

富裕層が独占していた「時間」を強奪し、貧困層に放出したウィルとシルビア。

 

今後も同様に、ダークヒーローのように生きていくことにしたようです。

 

労働者たちから搾取した「時間」だからという理屈なのですが、

ローン会社のみならず銀行にも手を出しているシーンで本編は終わります。

 

それって、無理やり共産主義にシフトチェンジさせるだけなのでは……?

と少しモヤッとした気持ちが残りました。

 

「時間」を十分に持った人々はどうする

「時間」=「お金」である以上、

手持ちの時間をどのように「物理的時間」と「通貨」に配分するか、

という点には各個人の自由が残ります。

 

太く短くパーッと終わりたい人もいるでしょうし、

できるだけ長く生きたい人もいるでしょう。

 

そして、太く長く生きたい人もたくさんいるでしょう。

 

私たちが生きる世界では、「時間」を奪う手段はないので、

「太く」生きるためのお金はともかく、

自分が「長く」生きることは他人から奪えません。

 

しかし、いずれも他人から奪えてしまう「TIME」の世界が、

そう簡単に平和になるとはどうしても思えないんですよね。

 

そのあたりについて、ウィルや、

あるいは富裕層出身のシルビアがどう考えているのか、

ケアが欲しかったように思います。


TIME/タイム (吹替版)